スリービルボードの評価と解説 : 情緒不安定!ある意味最悪のエンディング

. 2018-05-08 .

IMDb評価 : ★★★★★★★★(8.2/10)
タイトル : スリー・ビルボード (Three Billboards outside Ebbing, Missouri)
主演 : フランシス・マクドーマン、サム・ロックウェル
ジャンル : 犯罪ドラマ
公開年 : 2017
放映時間 : 115分
撮影地 : ノースカロライナ州 アメリカ
iTunesで予約可能

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話の流れ / ストーリーライン〈ネタバレなし〉



舞台はタイトル通りミズーリ州のド田舎エビング。性犯罪によって10代の娘を失った母親が事件から7ヵ月経っても犯人を捕まえられない警察に抗議するために近所にある3つの大きな看板を利用する。その3つの看板によって被害者の母とその人間関係が渦巻く様子を描いた作品です

本作の見どころはストーリー展開も急でおもしろいですが、なにより俳優たちの演技力がすごすぎる点です。実際にいそうな人間を演じていたのですごくリアルでした。さすがアカデミー賞の主演女優と助演男優を受賞しただけあります。脇役さえも良い味出してました

1つ警告しておくと本作は論理的思考を持っている人には向かないです。人の言動の根拠をいちいち考えるタイプの人は本作を理解できずにただただフラストレーションを感じるだけだと思うので

暴力シーンについては犯罪ドラマなので、殴る蹴る突き落すなど、まあ割と多く出てきますがショッキングな演出をしていないのと怖いシーンに入る前に雰囲気づくりをしてくれているので心臓を傷めることなく見れます。それに本作の場合は他のサスペンス映画とは違って意味のある暴力が多いので、ストーリーを進めるうえでバイオレンスシーンは欠かせません。暴力にある種メッセージが込められていると言っていいと思います

オスカーで作品賞にもノミネートされているので良作ではありますが、観る人によってはかなり評判悪そう。この作品を見ることで満足感を得ることは決してできないので、なにかを期待してみる人には向かないかもしれません。また、作品の重要人物たちはみな中年で泥臭いところやパワハラし放題なところがあるので、「腐れ縁上等」みたいな世代の人には感情移入しやすい作品です。以後、ネタバレあるのでまだ見ていない人は要注意!



『スリー・ビルボード』を見た感想と評価 ≪ネタバレあり!≫



個人的な評価 : ★★★★★★★(7/10)

星7つという高評価を付けましたが、あまり好きではない作品です。見た人も同じ気持ちになったと思いますが、ミルドレッドとディクソンが性犯罪者を殺すためのドライブの途中にいきなり終わります。突然すぎるあの終わり方は不完全燃焼が過ぎるかなと感じました。ラストシーンだと気づかないまま終わったのでエンドロールが始まって、監督の名前が出ているのに「まさか終わってないよね?」と心の中の問いが止まらなかったです

ただ、キャストの演技が素晴らしすぎて星6には出来ませんでした。主演女優賞をとったフランシス・マクドーマンは誰が見ても実力者なわけですが、私が一番評価したいのは勤務態度が悪いマザコン警察官の役を演じたサム・ロックウェルです。彼のことはチャーリーズ・エンジェルの頃から知っていますが、一度見たら忘れられないくらい演技が上手い。人物にのめりこむのが上手いのが観ていてわかります。相当人間観察をしないとあんな演技できませんよね。ディクソンは人間らしくて一番笑わされました

この作品が突出してすごいところは知らないうちにエンディングシーンが訪れて、作品が終わった後に「ああ、これコメディだったんだ」と作品の意図がようやく知れるところにあります。そうなんです、この作品コメディなんですよ、厳密にいうとダークコメディですかね。思い返せばすごく笑ったシーンがいくつかありました。たとえば、ディクソンが看板の持ち主レッドをボコボコニして窓から放り投げた後に、今度はディクソンが全身大やけどして病室が同じになったときに、"Sorry for throwing out of the window(窓から突き落として悪かった)"といった台詞。ミルドレッドがレストランでデートが台無しにされて、ぶちぎれて元夫とガールフレンドに向かってワインボトルを握りしめて近づくときの彼らの表情。ディクソンがバーで出くわした性犯罪者のDNAをとろうとトリックをかけるとか訳のわからないことを言って相手の顔をひっかくシーン。私は本作をサスペンスだと思っていたのですが、実際は悲劇をベースにしたコメディでした


via GIPHY

で、結局この映画が訴えているのは「モラルと人間性は全く別のものであり、人生は曖昧なことだらけ」ということです。こればかりは作品を見ないと理解できないメッセージだと思うのですが、登場人物に注目してみるとわかりやすいです。まず、ウィロビー署長は表向きは責任感の強い、真面目な警察官でありながら愛妻家です。でも本当の姿は妻とヤるために幼い娘たちを川沿いに置き去りにするような非常識な父親です。次に、主人公のミルドレッドは表向きは哀れな母親ですが、実際は実の娘に「あなたなんか行く途中で襲われればいい」と言い放ち、歯医者の爪に穴をあけ、女の子の股間を蹴り、警察署に盛大に火をつけるコントロール不能な人間です。彼女の息子は一見好青年ですが父親ののどにナイフを当てます。ミルドレッドの元夫であるその父親は娘思いの親かと思えば、死んだ娘と同い年の19歳の女性と交際している。そして、ディクソンはと言えば勤務態度が悪く、だらしないマザコンかつレイシストで感情に従うタイプの人間です

そう、ディクソンだけ裏表がないのです

たしかに窓から放り投げるのはやりすぎかもしれませんが彼の感情的な性格を考えると、決して意外ではない行動です。主人公ではないものの、この作品で最も重要な人物となるのは実はディクソンなのです。「人情はモラルを越えられる」ことをラストで"感情の塊"と"非常識の塊"が和解したときに示されました



おわりに



この作品は犯人を特定することが目的ではなく、人間がもつ不安定さ、あいまいさ、そして人生の予期せぬ展開を怒りと悲しみとともにユーモアで飾りつけたあまり見ないタイプの作品です。最後、あの2人はアイダホに向かって犯人かどうかも分からない男を殺すのです。その後については明かされなかったものの私は500%、彼らは殺したと思っています。本作はiTunesから今すぐ予約可能ですし、5月16日からU-NEXTでも先行配信されるのでサスペンス&コメディ好きなら気に入るはずです





IMDb評価 : ★★★★★★★★(8.2/10)
タイトル : スリー・ビルボード (Three Billboards outside Ebbing, Missouri)
主演 : フランシス・マクドーマン、サム・ロックウェル
ジャンル : 犯罪ドラマ
公開年 : 2017
放映時間 : 115分
撮影地 : ノースカロライナ州 アメリカ
iTunesで予約可能

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話の流れ / ストーリーライン〈ネタバレなし〉



舞台はタイトル通りミズーリ州のド田舎エビング。性犯罪によって10代の娘を失った母親が事件から7ヵ月経っても犯人を捕まえられない警察に抗議するために近所にある3つの大きな看板を利用する。その3つの看板によって被害者の母とその人間関係が渦巻く様子を描いた作品です

本作の見どころはストーリー展開も急でおもしろいですが、なにより俳優たちの演技力がすごすぎる点です。実際にいそうな人間を演じていたのですごくリアルでした。さすがアカデミー賞の主演女優と助演男優を受賞しただけあります。脇役さえも良い味出してました

1つ警告しておくと本作は論理的思考を持っている人には向かないです。人の言動の根拠をいちいち考えるタイプの人は本作を理解できずにただただフラストレーションを感じるだけだと思うので

暴力シーンについては犯罪ドラマなので、殴る蹴る突き落すなど、まあ割と多く出てきますがショッキングな演出をしていないのと怖いシーンに入る前に雰囲気づくりをしてくれているので心臓を傷めることなく見れます。それに本作の場合は他のサスペンス映画とは違って意味のある暴力が多いので、ストーリーを進めるうえでバイオレンスシーンは欠かせません。暴力にある種メッセージが込められていると言っていいと思います

オスカーで作品賞にもノミネートされているので良作ではありますが、観る人によってはかなり評判悪そう。この作品を見ることで満足感を得ることは決してできないので、なにかを期待してみる人には向かないかもしれません。また、作品の重要人物たちはみな中年で泥臭いところやパワハラし放題なところがあるので、「腐れ縁上等」みたいな世代の人には感情移入しやすい作品です。以後、ネタバレあるのでまだ見ていない人は要注意!



『スリー・ビルボード』を見た感想と評価 ≪ネタバレあり!≫



個人的な評価 : ★★★★★★★(7/10)

星7つという高評価を付けましたが、あまり好きではない作品です。見た人も同じ気持ちになったと思いますが、ミルドレッドとディクソンが性犯罪者を殺すためのドライブの途中にいきなり終わります。突然すぎるあの終わり方は不完全燃焼が過ぎるかなと感じました。ラストシーンだと気づかないまま終わったのでエンドロールが始まって、監督の名前が出ているのに「まさか終わってないよね?」と心の中の問いが止まらなかったです

ただ、キャストの演技が素晴らしすぎて星6には出来ませんでした。主演女優賞をとったフランシス・マクドーマンは誰が見ても実力者なわけですが、私が一番評価したいのは勤務態度が悪いマザコン警察官の役を演じたサム・ロックウェルです。彼のことはチャーリーズ・エンジェルの頃から知っていますが、一度見たら忘れられないくらい演技が上手い。人物にのめりこむのが上手いのが観ていてわかります。相当人間観察をしないとあんな演技できませんよね。ディクソンは人間らしくて一番笑わされました

この作品が突出してすごいところは知らないうちにエンディングシーンが訪れて、作品が終わった後に「ああ、これコメディだったんだ」と作品の意図がようやく知れるところにあります。そうなんです、この作品コメディなんですよ、厳密にいうとダークコメディですかね。思い返せばすごく笑ったシーンがいくつかありました。たとえば、ディクソンが看板の持ち主レッドをボコボコニして窓から放り投げた後に、今度はディクソンが全身大やけどして病室が同じになったときに、"Sorry for throwing out of the window(窓から突き落として悪かった)"といった台詞。ミルドレッドがレストランでデートが台無しにされて、ぶちぎれて元夫とガールフレンドに向かってワインボトルを握りしめて近づくときの彼らの表情。ディクソンがバーで出くわした性犯罪者のDNAをとろうとトリックをかけるとか訳のわからないことを言って相手の顔をひっかくシーン。私は本作をサスペンスだと思っていたのですが、実際は悲劇をベースにしたコメディでした


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で、結局この映画が訴えているのは「モラルと人間性は全く別のものであり、人生は曖昧なことだらけ」ということです。こればかりは作品を見ないと理解できないメッセージだと思うのですが、登場人物に注目してみるとわかりやすいです。まず、ウィロビー署長は表向きは責任感の強い、真面目な警察官でありながら愛妻家です。でも本当の姿は妻とヤるために幼い娘たちを川沿いに置き去りにするような非常識な父親です。次に、主人公のミルドレッドは表向きは哀れな母親ですが、実際は実の娘に「あなたなんか行く途中で襲われればいい」と言い放ち、歯医者の爪に穴をあけ、女の子の股間を蹴り、警察署に盛大に火をつけるコントロール不能な人間です。彼女の息子は一見好青年ですが父親ののどにナイフを当てます。ミルドレッドの元夫であるその父親は娘思いの親かと思えば、死んだ娘と同い年の19歳の女性と交際している。そして、ディクソンはと言えば勤務態度が悪く、だらしないマザコンかつレイシストで感情に従うタイプの人間です

そう、ディクソンだけ裏表がないのです

たしかに窓から放り投げるのはやりすぎかもしれませんが彼の感情的な性格を考えると、決して意外ではない行動です。主人公ではないものの、この作品で最も重要な人物となるのは実はディクソンなのです。「人情はモラルを越えられる」ことをラストで"感情の塊"と"非常識の塊"が和解したときに示されました



おわりに



この作品は犯人を特定することが目的ではなく、人間がもつ不安定さ、あいまいさ、そして人生の予期せぬ展開を怒りと悲しみとともにユーモアで飾りつけたあまり見ないタイプの作品です。最後、あの2人はアイダホに向かって犯人かどうかも分からない男を殺すのです。その後については明かされなかったものの私は500%、彼らは殺したと思っています。本作はiTunesから今すぐ予約可能ですし、5月16日からU-NEXTでも先行配信されるのでサスペンス&コメディ好きなら気に入るはずです




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